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2010年5月31日 (月曜日)

『天地明察』 冲方 丁 著

本屋大賞2010crown大賞受賞作である『天地明察』を読みました。
           book本屋大賞のサイトへ

著者は冲方(うぶかた)(とう)氏。
私は冲方氏の名前は今回の作品で初めて知りましたが
ティーン向け小説やゲーム作家としては実績のある方らしいです。
しかし難読氏名ですね~

Dscn0682
この作品は平安時代より800年に渡り使われて来た暦の誤差を改めるために困難を乗り越えて新たな暦を作り採用させた江戸時代の男の話です。

この作品が今年(2010年)で第7回となる本屋大賞の歴史の中で初めて大賞を受賞した歴史小説となりました。

主人公は囲碁でお城勤めをする由緒ある家柄の若者・渋川春海(安井算哲)。
登城するとはいえ身分は武士ではないのですが何故か二刀の帯刀を命じられています。

彼の名は高校の日本史の教科書に江戸幕府が設置した天文方に任じられた人物として登場しますが覚えていますか?
大学の受験勉強で彼の名を覚えているという人も多いのでは・・・
(私もなんとなく記憶にありました・・・coldsweats01

しかし教科書で僅か数行ほどの記述で彼が一体どのようにして歴史にその名を残すような人物となったのかを知る人は少ないはずwobbly

あるいは囲碁を趣味とする人なら碁打ちとしての彼の名(安井算哲)を知る人もいるかもしれません。
(ちなみに安井家のライバルは本因坊家)

囲碁の腕をもって幕府に仕えそのまま身分を終身保証される人生を捨て好きな算術と天文観測の術を活かし蝕(日食、月食)の予測を外すようなことのないより正確な暦の採用(改暦)という難事業に身を投じた春海の生き方に現代の我々にも共感するものがあってとっても楽しく読めました。
引かれたレールの上を進む人生よりも好きな道を進む人生を選び成功を手にするサクセスストーリーはやはり読み手の心を動かしますねhappy01

春海の難事業は最終的には、はじめての国産の暦である貞享暦を国の正式な暦として採用させるという歴史上の偉業となりました
(このくらいはネタバレじゃないですよね
catface

この作品中に当時の算術の難問が登場するのですが数学が苦手な私にはやはり江戸時代の数学もこれまた難解というか理解不能bearing

Dscn0683
勾股弦(こうこげん)の定理を応用した問題例(本誌挿絵)
これはピタゴラスの定理の和算版とのこと

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春海は高度な数学の知識と正確な実測により複雑な天体の動きを予測して暦を完成させるのですがコンピュータやまだ高度な数学の解法などがない時代に算盤を駆使して天体の運行を解明するというのは私の想像を超えるものです。
(この本を読んでも具体的な蝕の予測方法などは説明されていませんよ)

shine数学が得意な人は本当に尊敬します。
            (自分は苦手なもので・・・think

この作品では私は春海の改暦にかけた人生の物語も当然興味を持って読めたのですがそれとは別に江戸幕府が戦国の世から太平の世へと移行(教科書でいうところの武断政治から文治政治への転換)していく道筋を支えた会津初代藩主・保科正之という人物にも興味が沸いてきました。
tv昔のTV時代劇 「服部半蔵 影の軍団」で山村總が演じていた殿様が保科正之)

会津藩については戊辰戦争に破れ藩ごと私の住む青森に追放され下北の地に斗南藩として再起を図ろうとしていたとことがあり身近な藩です。
そもそも官軍を相手に幕府を守ろうとした会津藩の家訓は保科正之の遺したもの・・・おっと話が逸れましたpunch

ちょっと前ならTV番組の「知ってるつもり」に取り上げられてもよさそうな人物伝でとっても読みやすい文章で誰でも気軽に読めますよ。
春海を囲む様々な登場人物についても更に詳しく知りたくなるような一冊でした。

ちなみに渋川春海が生涯をかけて作成した貞享暦も70年ほどで新たな暦に代わってしまいました。
現在の暦の名称はnightグレゴリオ暦です。
flairこのグレゴリオ暦はなんと春海の貞享暦よりも100年ほど前に西洋では採用された暦です。

search渋川春海(安井算哲)について(Wikipediaへ)

search渋川春海と貞享の改暦(富山市科学博物館のサイト)

search渋川春海の作った貞享暦について(Wikipediaへ)




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