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2008年7月27日 (日曜日)

『のぼうの城』 和田 竜 著

戦国もので久しぶりのベストセラーでしょうか?

のぼうの城 のぼうの城

著者:和田 竜
販売元:小学館
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まずタイトルの「のぼう」とは「でくのぼう」の略でこの作品の主人公である成田長親のあだ名。
では『のうぼうの城』の城とはどこの城かというと関東の七名城にも数えられる”忍城”のことで、この作品は秀吉の小田原攻めのさいに北条方についた成田氏の居城・忍城を秀吉の腹心・石田三成が攻めた忍城の戦いを扱ったものです。

忍城(おしじょう)は現在の埼玉県行田市にあった城で湖に浮かぶ難攻不落の平城です。湖に浮かぶといっても湖に点在する自然の島をそれぞれ本丸、二の丸に仕立てて橋を架けて行き来していたという俄かには信じ難いような姿の城です。(現在はこの湖は存在しませんが城の城郭は再現されて公園になっているようです)

私は読み始めるまではこの作品が忍城の戦いを扱っているとは知りませんでした。

知っていたらもっと早く手に取っていたはずです。

実は私にとって忍城には思い入れがあって以前、加藤正著『秀吉の枷』だったと思いますが秀吉の側室として忍城の甲斐姫にまつわる記述があり、この甲斐姫に興味をもち甲斐姫にまつわる作品が収められている短編集『女甲冑録』をよんだこともあります。

甲斐姫については三成の忍城攻めの際に城主の娘でありながら美貌の持ち主でありまた武勇に優れ自ら先頭に立ち僅かな兵とともに三成の大軍を打ち破った・・・との伝承が有名なのですが、どうもこれは創作話のようです。
この『のぼうの城』にも甲斐姫が登場しますが城攻めのさいには特に活躍ということもなく従来の甲斐姫像を期待して読むと少々物足りなく感じますが実際はこうだったのかもしれません。甲斐姫については後に継母を惨殺された際に自ら謀反人の首を刎ねたという言い伝えもありこちらは事実だったようです。

さて作品についての印象は、大変面白い作品でした。

これは戦国ファン&時代劇ファンにとっては必読の一冊ですよ。

普段は”のぼう様”と領民からも呼ばれるような主人公が城代となり石田三成の大軍を相手に城を守り抜くという痛快な内容です。
実際、石田三成は忍城方の兵の何十倍もの兵力をもっての総攻撃でも勝てず、かつて秀吉が行った高松城の水攻めを凌ぐ規模の水攻めを忍城にかけても攻め落とせませんでした。
のちにこの戦をもって三成の武将としての能力に疑問がもたれることになったといいます。
石田三成にとって生涯の汚点ともなった忍城の戦いを城を守る側からみたドラマとしてとても読み応えのある作品です。

きっと映像化されるのは間違いない!と思っていたら作者の和田竜(りょう)氏は脚本家出身で第29回城戸賞を受賞した「忍ぶの城」を小説にしたのが本作『のぼうの城』だそうです。
もともと映画化を前提に描かれた作品で湖に浮かぶ忍城や三成が水攻めのために急ごしらえした20km以上にもわたる堤防、円形古墳の上に陣取る三成陣営など映像化したさいに印象に残るような舞台もたくさん用意されています。
逆に壮大なスケールのため映像化が難しいのか未だ映画化は実現していませんがこの作品のヒットを境に待望の映像化となるかも・・・。
是非、湖に浮かぶ忍城を映像化して欲しいです。

忍城攻防戦は最後の総攻撃を前に小田原城が落城によって幕がおろされ、忍城の開城をした主人公の成田長親と戦には負けた石田三成と双方の戦国に生きた武人としての爽やかな最後の場面がここ最近に読んだ全ての作品の中で最も読後感が良かったものとなりました。

~この作品を読むにあたっての参考サイト~

★忍城について(Wikipedia)

★『のぼうの城』(Wikipedia)

★甲斐姫について(Wikipedia)

▼現在の忍城の周辺地図(埼玉県行田市)
 現在、天守閣のある城が再現されているようですが時代考証等は考慮されていないようですので当時の忍城の姿とは違うと思います。
 近くのさきたま古墳群の円墳の上に石田三成が陣を張ったとされています。三成以前には上杉謙信も幕営したといわれています。

詳しい地図で見る

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