『死神の精度』 伊坂 幸太郎 著
伊坂幸太郎氏の2008年本屋大賞受賞作『ゴールデンスランバー』からの流れでこの作品を読んでみました。
『ゴールデンスランバー』は内容そのものも良かったのですがストーリー構成の面白さに惹かれてしまいました。
さすが本屋大賞受賞作!
この『死神の精度』もなかなかのもので、その点では私の期待を裏切らない作品です。
伊坂氏の名前を意識する以前からこの作品の名前はどこかで聞いたような気がしていたのですが、やはり映画の原作として、そのままのタイトルで映画化されていました。
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死神の精度
著者:伊坂 幸太郎 |
最近ブームの死んだ人が生き返ったりというのとは逆に、これから死神によって死の判定を受ける様々な人間の話がオムニバス形式で綴られています。
面白さとしては 死神の精度>ゴールデンスランバー
人の死を司る死神。
病死、自殺以外の人の死を調査員たる死神が7日間その対象となる人間を調べ死なせるかどうかを判断しているというお話。
ほとんどの死神がろくに対象となる人間のことを詳しく調べることなく”可”の調査報告をするなか、この主人公の死神は忠実に職務を遂行すべくその対象となる人間と7日間を過ごして死なせるかどうかについての”可”、”不可”を報告します。
死神の調査によって”可”とされた人間は調査開始日から7日目に死を迎えることになります。
逆に死神の調査期間である7日間は対象となっている人間は死ぬことはありえない・・・という設定。
死神のイメージを一新するような設定になっているところが面白いです。
でも死神に取り付かれたらかなりの確立で死を迎えることになっちゃうんですが・・・。
ちなみに人間界で調査活動をしている死神は無類のミュージック好きで暇があればCDショップの視聴機の前でヘッドフォンを耳にあてミュージックを楽しんでいるということです。
なかには調査そっちのけでミュージックを楽しむ死神も・・・。
※ロックもクラシックも音楽全般を死神たちは”ミュージック”と呼んでいます。
各章の話が時空を超えて展開するなかラストは・・・・う~んと思わず唸っちゃいそうな構成となっています。
時間がないときでも一章ずつ読んでも面白い内容ですのでお勧めです。
映画の方は原作の冒頭の薄幸の女性のストーリを元にしているようですね。
死神役には金城武。かなりスタイリッシュな死神ですが原作に描かれている死神のイメージに近いかな?(個人的にはMIBの全身黒ずくめのスタイルをイメージして読んでいました)
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