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2007年10月 5日 (金曜日)

『下山事件~最後の証言~』 柴田 哲孝 著

突然ですが・・もしあなたの身内の人間が誰もが知っているような迷宮入りした大事件に深く関わっていたと親戚から告白されたらどうします?

例えば僕らの時代なら有名な三億円事件のあの白バイに乗ったニセ警官が自分の身内ではないかと疑念を持ったらどうします?

この本の著者は祖父の法事の後の会食の席で大叔母(祖父の妹)から驚くべき話を聞かされます。
それは著者の祖父が戦後史の中でも謎に満ちた下山事件の真相に深く関わっているのではないかというとんでもない告白でした。
しかも告白を受けた孫はジャーナリスト(著者)です。
じっちゃんの名に懸けて!も真相究明を!それが著者が本書を執筆(調査)するきっかけになりました。

下山事件―最後の証言 Book 下山事件―最後の証言

著者:柴田 哲孝
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する


下山事件なんて知らないよ!という人も多いでしょうが、今でも時々テレビ番組などでも紹介される戦後の混乱期に起きた大事件のことです。

しかも迷宮入り。

もう少し詳しく説明すると、GHQ占領下の日本で当時の国鉄初代総裁であった下山定則氏がある日、忽然と姿を消し翌日未明に常磐線の線路上で轢断死体となって発見された謎の事件が『下山事件』です。
よくある飛び込み自殺とも受け取られるような事件なのですが、いろいろな関係者や目撃者の証言からは単に自殺とも思えないようなものもあり現在では何者かによる他殺説が主流となっています。
本書は他殺説を主軸に事件当時の関係者の証言や目撃情報を精査し、当時、著者の祖父が関係していた亜細亜産業という会社に出入りしていた人脈を中心に事件の真相を探るというこれまで研究され尽くしていた下山事件にあらたな衝撃を与える内容になっています。
当時の関係者もすでに故人となっている方がほとんどで、現在の状況では、事件の真実をはっきりとしtカタチとしてはもはや証明することは不可能に思われ、本書も推論としか結論付けられない内容なのですが、亜細亜産業というこれまでに表に出ていない身内にしか知りえない証言をもとに考察された推論は、ただただ読んでいて驚愕の一言です。
戦後史に興味のある方には下山事件という一つの事件の真犯人を探すということだけではなく当時の日本とアメリカの関係、国内情勢、政治・経済情勢の裏読みという点でも面白い内容になっています。
とっても読み応えのある内容で久しぶりに”重い”テーマの作品でした。
本書では一応、著者としての下山事件の背景を整理してなぜ国鉄総裁が殺されたのか?犯人は誰か?について明言されています。
もちろん事件自体はとっくの昔に時効成立(殺人事件としては)していて今更どうこうということはないのですが、ここまで書いちゃって大丈夫と?読んでいて少し重く感じちゃいました。
それと著者の祖父である事件に深く関わった可能性のあるという方が私の母校(明治学院)卒であり、そのほかにも明治学院に関係する人物も登場していて、興味を持って読み進めました。
他にも有名人が多数登場していて昭和史に興味のある方には必読の一冊といったところでしょうか?
ただ構成が少し悪いような印象を受けます。
やたらと人名が登場するのですが、上手く頭の中で整理して読んでいかないとパニックになりそうです。ノートにまとめて読み進めるというのも一つの手かも?
これは本書が従来のように事件の真相究明、犯人探しの書物というよりもこの大事件に身内の人間しかも大好きだった”じい君”こと祖父が関与していたのか?というきわめて深刻なテーマが伏線としてあって、自ら謎解き役として進行しているのでしょうがないともいえるのですが・・・・もう少し工夫があってもいいかな?
まぁじっくり深く読んでいけばいいことなのですが・・・ちょっと気を抜くと人物相関図がすぐに分らなくなる恐れがあります。

そういう意味でも真剣に読まないといけないかも・・。

なお私が読んだものはハードカバーのものですが、最近は文庫サイズの改定版?が書店に平積みされているようです。
こちらには新証言なども加わっていて更に事件に対しての推論の精度が上がっているようですが、アマゾン寄せられているコメントを参考にすると、著者の最後の事件に対する考えが少し転向しているようなので初めて読む方にはこっちの文庫版の方がいいかもしれません。・・完全版となっていますしね!

Book 下山事件最後の証言 完全版 (祥伝社文庫 し 8-3)

著者:柴田 哲孝
販売元:祥伝社
Amazon.co.jpで詳細を確認する

この手の本は最後までじっくり読んで誰かに話したい衝動にかられても実際に相手がねぇ~。(なかなか乗ってくるような人は身近にいないかも)


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